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高森明勅
2016.5.8 06:10

「暗い井戸の中」の日々

平成17年に天皇陛下のご長女、紀宮殿下(現黒田清子様)
ご結婚に伴い、皇族の身分をお離れになる際に、
お示しになった
お言葉「36年間を振り返って」がある。

以前、その全文を「高森ウィンドウズ」で読み上げさせて戴いた
下手くそな読み方で恐縮至極だが)。

その中に、メディアによる事実無根の心ない皇后陛下へのバッシング
に言及さ
れた箇所がある。

敢えてその部分を改めて掲げさせて戴く(括弧内は引用者)。

「両陛下のお姿から学んだことは、悲しみの折にもありました。
事実に基づかない多くの批判にさらされ、平成5年御誕辰(お誕生日)
の朝、
皇后様は耐え難いお疲れとお悲しみの中で倒れられ、
言葉を失われました(失声症)。

言葉が出ないというどれほどにか辛く不安な状態の中で、
皇后様はご公務を続けられ、変わらずに人々と接しておられました。

当時のことは私にとり、まだ言葉でまとめられない思いがございます
が、振り返ると、
暗い井戸の中にいたようなあの日々のこと自体より
も、
誰を責めることなくご自分の弱さを省みられながら、ひたすらに
生きておられた皇后様のご様子が浮かび、
胸が痛みます」ー

皇室の方々が「暗い井戸の中」と悲しまれるような日々を、
もう二度と再現させてはならない。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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